
「事業譲渡(じぎょうじょうと)」は、会社の事業の一部または全部を、他の会社や個人に売却することです。これにより、売り手(譲渡側)は対価(お金)を受け取り、買い手(譲受側)は事業を運営する権利や資産を手に入れます。
スモールM&Aでは、小規模な企業や個人事業主が事業を売却するケースが多いです。たとえば、カフェ、理美容院、ECサイト、士業事務所などが対象になります。
主な譲渡対象(売却するもの)
· 事業用資産(店舗、機械、在庫、知的財産、商標など)
· 顧客リスト(お客様の情報や取引先リスト)
· 契約関係(リース契約、サプライヤー契約など)
· ノウハウ(運営方法やノウハウの提供)
※ 一方、負債(借金)や過去の法的トラブルは原則引き継がないのがポイント。
· 売り手は、譲渡する事業の内容を整理します(資産や顧客リストのリスト化)。
· 価格の目安を設定し、**仲介会社(M&Aアドバイザー)**を使うこともあります。
· 買い手は、業種の親和性や引き継ぎのしやすさを重視します。
· M&Aマッチングサイトやアドバイザーを通じて、買い手を探します。
· 売り手と買い手は、価格や譲渡内容について交渉します。
· 買い手は、売り手の事業リスク(売上、利益、契約状況など)を調査します。
· 事業譲渡契約書を作成し、売却価格や引き継ぐ資産の内容を明確にします。
· 従業員の引き継ぎ、顧客への通知、運営ノウハウの移転などを行います。
· 事業の価値を現金化できる(リタイア資金の確保など)。
· 借金や過去の責任を引き継がせないため、負債を切り離して売却できる。
· 個人事業主でも売却が可能(法人化しなくてもOK)。
· 既存の顧客やノウハウが手に入るため、ゼロからの起業に比べて有利。
· 短期間で事業をスタートできる。
· 低コストで既存のブランドやリソースを活用できる。
· 売却することで収入源がなくなる。
· 従業員や顧客への通知が必要(特に小規模事業だと関係性が深いため気を使うことがある)。
· 過去の事業内容に依存しすぎるリスク(売上が変動する可能性)。
· 事業がうまくいかない場合、買収費用の回収が難しい。
項目 |
事業譲渡 |
株式譲渡 |
引き継ぐ範囲 |
事業の一部または全部 |
会社そのもの(全資産・負債) |
負債の引き継ぎ |
原則引き継がない(資産のみ) |
借金やトラブルも全て引き継ぐ |
譲渡方法 |
契約書を作成し資産を個別に移転 |
株式の売買を行うだけ |
契約の手間 |
資産ごとに移転手続きが必要 |
株主名簿の変更のみでOK |
· 事業譲渡は、事業の一部または全部を売るスキームで、負債を引き継がないのがポイント。
· スモールM&Aでは、個人事業主や中小企業の譲渡に多く利用されます。
· 売り手は、事業の価値を現金化できるメリットがあり、買い手は事業をすぐに運営できるメリットがあります。
· 株式譲渡とは異なり、負債を引き継がないのが大きな特徴です。
分かりやすくするため、カフェの事業譲渡の例も挙げます。
具体例:カフェの事業譲渡のケース
1. **売り手(カフェオーナー)**は、売却理由が「引退したい」「他の事業に専念したい」などで、店舗、顧客リスト、店舗設備(家具・厨房機器)を売ることに。
2. **買い手(新規オーナー)**は、「飲食業に興味があるが、ゼロからの開業はリスクが高い」と考え、既存の顧客や店舗設備が整ったカフェを買収。
3. 譲渡の流れ
o 店舗の価値を査定して売却価格を500万円に設定。
o 契約を結び、カフェの機材、店舗、従業員の雇用契約を引き継ぐ。
o 従業員の承諾を得て、顧客にも通知。
o 買い手は、事業をすぐに**「営業中の状態」で引き継ぐ**ため、新規開業よりもスピーディーなスタートが可能。
これがスモールM&Aにおける事業譲渡の概要です!