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スモールM&A、承継型起業のスキームとしての事業譲渡

1️⃣ 事業譲渡とは?
 

「事業譲渡(じぎょうじょうと)」は、会社の事業の一部または全部を、他の会社や個人に売却することです。これにより、売り手(譲渡側)は対価(お金)を受け取り、買い手(譲受側)は事業を運営する権利や資産を手に入れます。

 

2️⃣ スモールM&Aにおける事業譲渡の特徴
 

スモールM&Aでは、小規模な企業や個人事業主が事業を売却するケースが多いです。たとえば、カフェ、理美容院、ECサイト、士業事務所などが対象になります。

主な譲渡対象(売却するもの)
· 事業用資産(店舗、機械、在庫、知的財産、商標など)

· 顧客リスト(お客様の情報や取引先リスト)

· 契約関係(リース契約、サプライヤー契約など)

· ノウハウ(運営方法やノウハウの提供)

※ 一方、負債(借金)や過去の法的トラブルは原則引き継がないのがポイント。

 

3️⃣ 事業譲渡の流れ
 

① 事前準備

· 売り手は、譲渡する事業の内容を整理します(資産や顧客リストのリスト化)。

· 価格の目安を設定し、**仲介会社(M&Aアドバイザー)**を使うこともあります。

② 買い手の選定

· 買い手は、業種の親和性や引き継ぎのしやすさを重視します。

· M&Aマッチングサイトやアドバイザーを通じて、買い手を探します。

③ 交渉とデューデリジェンス(事業の調査)

· 売り手と買い手は、価格や譲渡内容について交渉します。

· 買い手は、売り手の事業リスク(売上、利益、契約状況など)を調査します。

④ 契約締結

· 事業譲渡契約書を作成し、売却価格や引き継ぐ資産の内容を明確にします。

⑤ 事業の引き継ぎ

· 従業員の引き継ぎ、顧客への通知、運営ノウハウの移転などを行います。

 

4️⃣ 事業譲渡のメリット・デメリット
 

✅ 売り手のメリット
 

· 事業の価値を現金化できる(リタイア資金の確保など)。

· 借金や過去の責任を引き継がせないため、負債を切り離して売却できる。

· 個人事業主でも売却が可能(法人化しなくてもOK)。

 

✅ 買い手のメリット
 

· 既存の顧客やノウハウが手に入るため、ゼロからの起業に比べて有利。

· 短期間で事業をスタートできる。

· 低コストで既存のブランドやリソースを活用できる。

 

❌ 売り手のデメリット
 

· 売却することで収入源がなくなる。

· 従業員や顧客への通知が必要(特に小規模事業だと関係性が深いため気を使うことがある)。

 

❌ 買い手のデメリット
 

· 過去の事業内容に依存しすぎるリスク(売上が変動する可能性)。

· 事業がうまくいかない場合、買収費用の回収が難しい。

 

 5️⃣ 株式譲渡との違い

 

項目

事業譲渡

株式譲渡

引き継ぐ範囲

事業の一部または全部

会社そのもの(全資産・負債)

負債の引き継ぎ

原則引き継がない(資産のみ)

借金やトラブルも全て引き継ぐ

譲渡方法

契約書を作成し資産を個別に移転

株式の売買を行うだけ

契約の手間

資産ごとに移転手続きが必要

株主名簿の変更のみでOK

 


6️⃣ まとめ

· 事業譲渡は、事業の一部または全部を売るスキームで、負債を引き継がないのがポイント。

· スモールM&Aでは、個人事業主や中小企業の譲渡に多く利用されます。

· 売り手は、事業の価値を現金化できるメリットがあり、買い手は事業をすぐに運営できるメリットがあります。

· 株式譲渡とは異なり、負債を引き継がないのが大きな特徴です。

分かりやすくするため、カフェの事業譲渡の例も挙げます。

 

具体例:カフェの事業譲渡のケース

1. **売り手(カフェオーナー)**は、売却理由が「引退したい」「他の事業に専念したい」などで、店舗、顧客リスト、店舗設備(家具・厨房機器)を売ることに。

2. **買い手(新規オーナー)**は、「飲食業に興味があるが、ゼロからの開業はリスクが高い」と考え、既存の顧客や店舗設備が整ったカフェを買収。

3. 譲渡の流れ

o 店舗の価値を査定して売却価格を500万円に設定。

o 契約を結び、カフェの機材、店舗、従業員の雇用契約を引き継ぐ。

o 従業員の承諾を得て、顧客にも通知。

o 買い手は、事業をすぐに**「営業中の状態」で引き継ぐ**ため、新規開業よりもスピーディーなスタートが可能。

これがスモールM&Aにおける事業譲渡の概要です!

Tags: 事業承継
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