
経営者がよく言う事業承継ができない最大の理由として後継者の能力、資質不足があります。事業承継はそもそも経験、実績豊富な経営者から、明らかに未熟(経験がない)な後継者に引き継ぐという構図のため、経営者の目線で見るとリスクがあるのが当たり前の話で、後継者の能力、資質に不安を覚えること自体は正しいわけです。
ただし、経営者が忘れてはいけないことがあります。
それは、会社を経営しはじめた頃に、今では何でもできる経営者も全てが今のようにできていたのかということです。
後継者も全く同じです。人は成長するということ、もっといえば、経営者という役割を実際に担うようになってからでないと成長しない、できないこともたくさんあるし、一気に成長していくということでもあるのです。そのことを想定せずに現在だけで切り取って見てしまうとフェアではなくなります。
また、経営者は会社の未来がうまくいくことに対してコミットをしているはずです。そのように考えると後継者を育てて、自らが会社を去ったとしても維持、成長できる会社となるようにしていくことはそもそも経営者の大きな仕事なわけです。
事業承継の問題が後継者の能力、資質の問題かどうかは、経営者がコミットを十分に期間としてもした結果であれば仕方ありませんが、そうでない場合には、経営者自身が事業承継と真に向き合っていないということだと思ってください。