
後継者に必要な資質を見ると、少し抽象的で実際にそれがあるか、どうか、
大切なことは分かったとしてどう身に着けていくべきかなど少し実践に落とし込みにくい感覚ももちろんあります。
ここでは後継者がより具体の経営という意味で直面したり、考え、決めて、実行していくことに類することで必要になる力を具体的にご説明します。
現在のように人口減少やこれまでつくりあげきた考え方、やり方で続けることがマイナスになってしまうような事業環境にあって経営者は、これから会社をどのようにするか、厳しい時代だからこと、大げさに言えばワクワクする夢を語ることができるかどうかとても大切です。
今までと同じことをやっていて成長できる時代では絶対にありません。時代が厳しく、会社、事業を変えていけないと続かないということは経営者はもちろんそこで働いている社員も冷静に理解をしていることです。
そのような中で前例踏襲型の考え方は少し時代に合わず、会社の未来が見えず、会社の成長、社員の士気の低下などマイナスに作用することが多くあると思います。そのため、経営者は夢を語る、その夢をしっかりと言語化して目標に落とし込み、実現のための戦略を徹底的に考えて、示すことが大切だと思っています。
ただ、夢を語るだけではダメで、どうやってそれを実現するのかという戦略もセットでないといけません。
大企業のようにルール、仕組みがとても強く誰が経営者であっても、勝手に動いているような会社と異なり、中小企業の場合には、ルール、仕組みで動くことを目指しつつも、人数が少ない分、人と人が見えやすく、人でやはり動くということが欠かせずにあります。その際に、後継者にとっては、会社内にいる幹部、社員というのは皆が先輩の可能性があったり、年齢が物理的に上の人ばかりということもあります。そのような環境下において、小さな会社だからこそ、人に好かれるということは会社、事業を経営していく中では大切です。
ただ、八方美人的に誰に対しても当たり障りなく表面的なコミュニケーションを取っていれば良いということではもちろんありません。会社を成長させる、よりよい未来にしていくということがゴールで、それに対して社員に信頼してもらい動いてもらうことが必要であり、その信頼、動いてもらうことを実現するために好かれるということが必要という話です。ただ飲みに行って仲良くなるということとは違うわけです。
40年前の事業承継と、2025年の事業承継では同じ部分と確実に違うことがあります。
それは時代環境が全く違うということです。現在における時代環境というのは人口が伸びていた時代環境と比べると、格段に難しい事業環境と言えると思います。
今から0ベースで起業する人は、今の時代環境に合った事業の考え方、やり方を当たり前にできますが、事業承継の場合には、人口が伸びていた時代において最適化された事業モデルがあり、そちらを引き継いで、今の人口減少の時代の中でどうやって生き残っていくのかを考えないといけないわけです。もちろん人口が伸びていた時の事業モデルで勝ち続けることはとても難しいため、新しいことに挑戦、チャレンジをしていかないといけないわけです。挑戦、チャレンジができずに、よく言えば守りが強い、保守的な人が後継者になってしまうと、それは先代の経営者でよかったのでは?と時代に取り残されてしまうことになります。
中小企業の場合、やらないといけないことが、重要なことからそうでないことまでてんこ盛りの状態だったりします。やらないといけないことがたくさんあることによって、それを俯瞰して、整理することができないと、日々、タスクに追われてしまって、経営者としての仕事ができなくなってしまうことがよくあります。
経営者の仕事は日常のタスクを処理することではなく、将来の会社、事業をよりよくすることで、そのために必要なことを考えて、決めて、実践していくことになります。
会社の現在地としてタスクがてんこ盛り状態の会社が多いと思いますが、そのタスクを処理できたとしても会社の成長に繋がらない、経営者がそのタスクをやっていては会社の成長はない、むしろマイナスということはたくさんありますので、現在の状況に取り込まれるのではなく、俯瞰して、何をやらないのかを決めて、残ったやるべきことに対してコミットをして、完遂させていくことが経営者にとても求められます。
後継者が単に座学でリーダーシップ、経営者としての学びをしたとしてもそれだけでは意味がありません。単に経営者のポジションを後継者に譲ったということも意味がありません。事業承継の成功、失敗というのは、事業承継に関して長く、重要な関わりを持つ、社員なども含めて、短期の結果ではなく、中長期の軸で、時代に合う格好での会社の変化、成長などができたかということが大切になります。
後継者が独りよがりにならないように、また後継者がリーダーシップを発揮しやすいようにするためには、後継者が意識、努力、準備しないといけないことが多々ある反面、受け入れる社内の社員などの理解、巻き込みも不可欠になるわけです。
事業承継を単に経営者と後継者1対1の関係、時間軸を短期で見てしまうとうまくいきません。重要な関係者はたくさんいること、時間軸も短期、中期、長期の目線があることを理解しましょう。
理由: 謙虚な姿勢は、他者の意見を受け入れ、自身の成長や組織の改善につながります。経営者が謙虚であることで、社員や取引先からの信頼を得やすくなり、良好な関係性を築くことができます。社会は勝手に変化をしていくわけで、それに応じて会社も変化が必須です。会社の変化は経営者の変化でもあります。経営者が謙虚かどうかというのは、傲慢にならず常に会社をよりよくするためにはどうあるべきかを問うている経過のあるべき状態だと理解するとよいです。
経営者の仕事とは何かを明確に具体化、言語化できているとそれに必要な資質はもちろん、
最近の経営者アンケート結果がまさに実際だなと思うのが、国内市場は厳しいので、海外を市場にできるかどうかという意味で国際的な経験というのが入っていたり、これまで会社の主力事業、既存事業が厳しい局面に入っているので、変化に対応、イノベーションや、目指すべき方向性そのものを定めなおすだったりのリーダーシップが項目に入っています。
これらの資質はいつの時代でももちろん語られますが、現在の時代環境において、ただ会社を承継するだけでは、多くの場合ジリ貧になってしまう環境においては、より重要な資質だと思っています。
経営者の資質を見るだけで、何となくこういう資質が必要なんだなということは理解できますが、大切なことはこの資質をより育み、身に着けていくことを、具体のトレーニング、学習、実践などを通じてしっかりと経営者、後継者間で同じ理解をもってしてやっていくことです。