
経営者が後継者に業務を引き継ぎ、任せようとすると、必ずぶつかるのが、後継者が「経営者のよう」にできないということです。その都度、経営者は、後継者は「なぜ自分のようにできないのか?」ということを何度も何度も不思議に、いら立ちをもって思うことになります。
アイデアが湧き出て常にPDCAを回して、もっとこうした方が良いと仕事の目的から、仕事の考え方、やり方、実際のアウトプットを出し続けてきたプレーヤーとして優秀な経営者であればあるほど感じることがあります。
「後継者はなぜ自分のようにできないのか?」と経営者がこのように思うことがあったら、経営者はいよいよ新しい成長機会に入った、自分の役割も変わらないといけない、新しい自分の役割ができないと新しい成長機会はうまく乗り切ることができないと局面が全く変わったことと、その局面におけるルールなどをしっかりと理解をしなおして経営者自身もできないことに我慢強く挑んでいくしかありません。
後継者のせいにすることはとても簡単なことで、後継者のせいにして状況がよくなるのであればそれでよいのですが、状況は悪くなる一方です。
感情的になりはじめてしまうとあらゆることが気になり始めてしまって、我慢していたことも我慢できなくなってしまってあらゆることに口、手出しをして、究極は仕事、自信などを奪ってしまって、関係を破綻させてしまうことがあります。
経営者、後継者の目的は共通で、事業承継をただ形式的に終えることではありません。事業承継を通じて会社、事業をより成長させることです。そのため経営者は「なぜ後継者は自分のようにできないのか」と思うことがあったら、少し冷静に状況を見るようにしましょう。
ある時、部下にとある仕事を、目的とやり方などを具体的に指示をしてお願いをしたことがありました。私としてはそのやり方が経験上、最良のやり方だと思っていました。
しかし、部下からは、もっと早くできるやり方があるので、そちらのやり方でもよいかということを聞かれました。
もちろん仕事がきっちりと求めている格好で終わっていれば、よりよい手段であるのであればそれに越したことはないわけです。
このケースでは部下が幸いにもその場で私に提案をしてくれたため仕事のやり方は良い意味で常に進化していて、自分の仕事のやり方だけが全てでそこに固執することはダメだなとつくづく感じたことがありました。
仕事を任せた目の前の人が仕事ができていなかった場合、多くの人が、仕事ができなかった理由は、目の前の人の問題だと思ってしまうことが多いのではないでしょうか。
確かに目の前の人の能力の問題も往々にしてあるかもしれませんし、目の前の人の能力が1番の原因ということも間違いなくあると思います。
ただ、経営者としては自責で考えることが極めて大切で、これは、仕事の任せ方、お願いの仕方、仕事を任せてからの進捗管理などのプロセスをもっと変えることで能力に関係なく誰でもできるようにできないか?という問いを立てるわけです。
文書でマニュアルをつくれば確実に誰でもできるとか、動画にすれば更に間違いないとか徹底的にどうすれば誰でもできるのか?を問うわけです。
仕事をお願いした人が仕事ができていればよいのですが、できていない場合、できていない理由として経営者が言った通りにやっていないということがあります。その際に経営者はなぜ自分の言った通りにしないのか?と思うわけです。
理由としては、言った通りにすれば仕事ができるからというのがほとんどですが、自分は経営者(上の人間)であってなぜこの人は自分の言ったことを聞かない、やらないのかという感情が主に来てしまって支配欲的な側面で苛立ってしまう、不満を持ってしまうということがよくあります。経営者も人間ですので一定仕方ないことですが、経営者が目的を勘違いしてしまって支配したいということでのコミュニケーションにならないように、経営者はとても注意をしなくてはいけません。