
経営者にとって事業承継は正直に言って、最もストレスな仕事といえるかもしれません。事業承継を突き詰めていくと、経営者の引退、会社から最後は当たり前ですがいなくなるための準備となります。
そのため経営者がいなくなることを想定して、経営者のやっている業務を引き継ぎ問題ない状態をつくっていくことをまずしないといけないわけです。経営者が現実としてやることは、自分のやっている業務を書き出し、分解して、それを後継者などに引き渡していくわけです。
ただ業務を後継者に渡しても、後継者はできません。後継者ができるようになるまで見守ることが主の仕事になります。ここがとてもストレスになるのです。
経営者はとにかく仕事が早く、正確で、レベルを高く、それが仕事のあるべき姿、仕事だと思っています。そのため後継者などの仕事ぶりを見ていると仕事が遅く、不正確で、レベルが低く、経営者が考える仕事とは到底異なり、全然我慢ができずにすぐに後継者の仕事に口、手を出してしまったり、最悪のケースとしては仕事を奪ってしまって結局自分がやってしまうということが本当によくあります。
これは経営者がスーパーマンであることや、プロ意識、お客さんをこよなく大切にしていることから、我慢ができない結果なわけで、とてもよく理解ができます。
経営者が永遠に仕事ができるならそれでよいのですが、ただそのようなことはないわけで、事業承継は必ずどのスーパーマン経営者にも訪れるわけです。
事業承継において、経営者がスーパーマンであればあるほど、業務を引き継ぐ部分で後継者などの仕事の飲み込みの部分が経営者からしたら良くないということで、とてつもなくストレスになることをまず先に理解をしましょう。
事業承継の目的は後継者が会社を引き継ぎ、より会社を成長させることになります。どんなに優れた経営者であっても一生は会社経営をできませんので、必ず後継者に譲っていかないといけません。そのため、事業承継の目的、必要性を強く理解して、理解しているのなら、業務を引き継ぐこと、とにかく我慢をして、後継者などが仕事ができるようになることに対してコミットをしましょう。経営者の役割が完全にプレーヤーでなくなり、できる人を育てることに移ったということなわけです。この役割の変化をしっかりと腹落ちさせることです。