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売り手経営者と食事をして様々な経営実態を引き出す

スモールM&A、承継型起業で会社を買う人は、買いたいと思ったら是非、売り手の経営者と食事をするべきです。

ところで、なぜ「食事をしながら」なのでしょうか?

理由は簡単です。
「結婚」をイメージしてください。結婚の際には、相手と何度も食事をして親しくなり、お互いのことをよく知ることができます。

会社売買も結婚と同じです。買いたい会社の経営者と食事をしながら話すことにより、相手と親しくなり、信用・信頼関係を築き、お互いをより深く理解できます。通常のM&Aは、当事者同士で食事もしないまま結婚するような、極論すれば少し異常な状態です。しかし、友好的な会社購入では、「食事をしながら仲良くなる」ことは必須のプロセスです。
中小企業の創業経営者の多くは、自分が作り育てた会社が他人に買われることに抵抗感を持っているので、まずはその抵抗感を解きほぐす必要があります。
また、相手経営者と親しくない関係のままだと、ときには「騙される」「(第三者に)邪魔される」「売買金額が高くなる」などのリスクが発生します。
それらを避けるためにも、まずは食事で(場合によってはお酒を飲みながら)、相手との親密度を高めることが重要です。いきなり一対一の食事が難しそうなら、「会社の方もご一緒に、何人かでお食事しませんか?」と声がけして、複数人での会食の機会を設けてみてもよいでしょう。

まずは第一印象が大事です。

会食では、「食事の仕方」や「行儀作法」をチェックされているので、相手に悪印象を与えないよう気をつけましょう。
気をつけるべきポイントは、「相手の食事の好みを調べて、お店選びをする」「食べ残しをしない」などです。
現在70歳以上の(団塊世代の)高齢経営者は、「食事」に対して、若い世代が考えている以上に、強い「こだわり」や「価値観」を持っています。
「食べたいものを食べられることが大事」「食べ物を無駄にしてはいけない(食べ残しはよくない)」「食べ方や箸の使い方(行儀作法)で人間性がわかる」、と考えている人が多いのです。

 
相手経営者と食事をする目的は、相手と親しくなることだけではありません。むしろ重要なのは、会食を通して「この会社を買うべきか否かの判断」をすることです。

この段階で相手経営者の本音を引き出し、会社の実態・実情を把握し、本当に買う価値のある良い会社かを見定めるのです。
したがって会食時の会話は、単なる世間話で終わってしまっては意味がありません。会社購入を決断する際にチェックしておくべきポイントを、しっかりと確認しておきましょう。

このチェックポイントについては、この後詳しく解説しますが、主に次のような話題&順番で会話を進めるとよいでしょう。

1 「相手の生い立ち」や「事業経緯」を聞く
2 「思考の癖」を確認する
3 「税金・借入に対する考え方」を確認する
4 「経営に関わるキーパーソン」について確認する
5 「会社の譲り方」や「売買金額」に関する希望を聞く
6 会社を売った後の「希望の関わり方」を聞く
7 「自分の生い立ち」や「仕事への思い」を話す
8 自分が会社を買った際の「現社長のメリット」をアピールする

一回の会食で、すべての項目について話すのは無理なので、会食の機会を何度か設けて、時間をかけて確認・話すことをお勧めします。

また、ここで重要なのは「話の順番」です。まずは相手の話をじっくり聞く=「傾聴する」ことが最優先です。その後、自分のことについて正直に話す=「自己開示する」のです。

「聞く・話す」量の比率も、最初は「8対2」くらいにしておき、徐々に自分に関することや自分の考えを話す量を増やしていきましょう。

Tags: 事業承継
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