
後継者が会社を引き継ぐにあたって不足していることとして会社内での経験があります。この経験というのは実務経験、それに付随する実績などもありますが、経営者という目線でいうと、現在の経営者が過去においてどのような課題などに直面をして、どのように考えて、どういう意思決定をして、どういう結果になったのかということがあります。
この経営者目線における会社内の経営の経験のシェアは極めて大切だと思っています。
後継者にとっては経営そのものを考え、学ぶための活きた教材でありつつ、同時に会社の様々な歴史、背景なども学ぶことができるからです。
経営者は、知識面を教えるということをしつつも、このような実践、実際をしっかりと整理して、言語化、具体化して教材化することはとても大切です。
その際のポイントとして嘘をついたり、かっこつけないということが大切です。
どうしても後継者に良いところを見せたいとうまくいったことやうまくいった側面だけ切り取って共有するとなってしまうと意味がありません。失敗経験こそ真の学びになると思いますので赤裸々に共有をするべきだと思っています。
また、解像度が低い話も意味がありません。
「こういうことが10年前にあって、大変だったけど、気合いで何とかした」という話を聞いて、何も考えるきっかけにも、学びにもなりません。
そのため、できる限り客観的な状態、前提、背景などを示しつつ、後継者ならどのように考えるかなど問いながらやっていくことが大切です。
正解は決してないという前提ですが、経営者がどのような課題、問題に直面をして、その時にどのように考えて、決めて、動いて、結果どうだったのかということが、とても大切な経営者としての学びになります。